6月上旬に,京都の青蓮院,白龍園,建仁寺(本坊,両足院)の苔庭を訪ねました。
今年は5月以降に30mm/日以上の雨が何度もあり,直前にも40㎜/日以上の雨が降ったので苔を見るには絶好のコンディション。
例年より早めの梅雨の季節に苔の景色を楽しみました。
初めに青蓮院を紹介します。
(京都 2021-KT02①:2021年6月)
『 青蓮院へ 』
地下鉄東西線の東山駅で降り,歩いて5分ほどで大きなクスノキが見えてくると,そこが青蓮院。
青蓮院門跡とも呼ばれますが,古くから皇室と関わりが深く格式の高い門跡寺院で,天台宗総本山比叡山延暦寺の三門跡の一つとして有名です。
ちなみに,あとの二つは大原の三千院と,東山の妙法院(蓮華王院本堂(三十三間堂)を所有・管理)。
入口の門脇には立派なクスノキが佇んでいます。
門前の通りを南に下る塀沿いにも巨木があり,境内の1本と合わせて合計5本のクスノキは京都市の天然記念物に指定されています。
苔も好きですけど,立派な木も好き。
なので,巨木と苔の組み合わせが見れるのはとても嬉しいかも。
森林や渓流に行けば,もっと壮観な自然の景色が見られますが,こんな街中でこういう苔景色を楽しめるところが,京都の街の凄いところだと思います。
青蓮院の庭園は,
華頂殿と小御所の前面に広がる築山泉水庭(相阿弥作),
好文亭奥の霧島の庭(小堀遠州作),
好文亭前の庭(大森有斐作),
宸殿前の苔庭などがあり,
これらを周遊できる小径を歩くことができます。
まずは建物の中に入り,拝観時にいただいた境内順路図を見ながら華頂殿へ。
華頂殿の前面には,相阿弥作の築山泉水庭が広がります。
池泉回遊式の,みごとな苔庭です。
廊下のすぐ前には手水鉢があり,ここにも苔模様が広がっています。
奥に見えるのが小御所
次は宸殿へ。
小御所と神殿の間にも苔の庭が。
楓が枝を広げていて,紅葉の時は素敵でしょうね。
そして,宸殿前に広がる苔庭。
右からクスノキの枝が張り出す
宸殿から庭に向かって,正面やや右手に大きなクスノキ。
京都市指定天然記念物の5本の大楠のうちの1本がこの巨木。
・・・いいですねえ。
宸殿から小御所に続く渡り廊下には,大きな自然石の手水鉢。
「一文字手水鉢」と言われています。
廊下を進み,小御所の北側から築山泉水庭を一望。
小御所の東側に回り込むと,「龍心池」が見渡せます。
手前の橋は「跨龍橋」,池の右手奥には石組みが滝になっている「洗心滝」があります。
奥に見える建物は好文亭です。
左奥に好文亭,右手前が跨龍橋
跨龍橋の手前側は小御所の東側に沿って水際が続いており,南端の石組みには奥にある池からの水の滲み出し(?)があり,周りには苔が群れてる感じ。
水辺一帯に広がる苔模様が楽しいです。
建物からの景色(苔の)を堪能したら,入り口に戻って庭園を散策できます。
まずは,建物内から見た築山泉水庭です。
築山の右奥には山裾を利用して高く石組みした洗心滝があります。
龍心池から北へ,華頂殿の脇を進みます。
右奥が小御所
先へ進むと見事な楓の古木。
秋の紅葉も素敵でしょうが,古木と苔が織りなす緑の景色もいいものです。
さらに先へ進むと,霧島の庭。
霧島つつじが主役で,手前にあった楓の群生と併せてひと続きの庭のようです。
この庭をぐるっと回って,反対側を進むと大きな石灯篭。
この右手にある石段を進みます。
石段を上った左手が好文亭。
さりげなく佇む小さな石灯籠の苔模様がいいですね。
山あいの小径の先には日吉社があり,その先からは華頂殿と庭園が見おろせます。
山あいから降りてくると,本堂の脇に出ます。
その先の階段を下ると,宸殿前の庭へ。
階段脇の水路と石垣に広がる苔模様もなかなか良さげです。
宸殿前を通り抜けると出口です。
ここまで見て回って,1時間20分ぐらい。
他にも様々な苔模様が見られました。
青蓮院には大クスを見に何度か訪れたことがありましたが,苔を主役に見て回ると思いのほか見どころが多かったです。
市街地のすぐ近くにクスの巨木や苔が織りなす世界が広がっていて,こうした景色が数多く見られるところが,京都の街に惹かれる理由なのかも。
広い境内で人が少なかったこともあり,ゆっくりと苔を楽しむことができました。
続きは「苔の小径へ(白龍園:京都)」で。