6月上旬に,京都の青蓮院,白龍園,建仁寺(本坊,両足院)の苔庭を訪ねました。
今年は5月以降,30mm/日以上の雨が何度もあり,直前にも40㎜以上の雨が降ったので苔を見るには絶好のコンディション。
例年より早めの梅雨の季節に,洛北の二ノ瀬の里にある「白龍園」を訪ね,苔の景色を楽しみました。
(京都 2021-KT02②:2021年6月)
『 白龍園へ 』
叡山電鉄の二ノ瀬駅から歩いて7分ほどの旧鞍馬街道沿いにあり,鞍馬川にかかる橋を渡るとすぐに入口があります。
ところが,市原~鞍馬間が不通になっていたので,地下鉄の国際会館駅からタクシーに乗ることにしました。
市原駅からでも1kmぐらいなので歩いていけるのですが,登り坂なので・・・。
ここを知ったのは,NHKBSの「京都人の密かな愉しみ Blue 修業中 燃える秋」で紹介されていたのを見たことから。
「美しい苔の庭」という写真集(烏賀陽百合 著,野口さとこ 写真)でも紹介されていました。
プロの説明や写真を見ると実際に行ってみたくなるものですね。
事前に往復はがきで予約をし,午前中いっぱい楽しむつもりだったので,入場時間の10:00前に到着。
まだ,門が閉まっているので,道路の向かい側にある「河鹿荘」へ。
といっても,この日は休業中とのことなので建物を眺めるだけ・・・
・・・ですが,この建物・・・
素敵ですね・・・屋根の苔が。
この建物は江戸時代末期のもののようです。
さて,10時になって門が開きました。
受付を済ませ中に入ると,苔景色が広がり,期待で胸が膨らみます。
ここが一層目で,階段を上がっていった三層目には「白龍神社」があります。
10時開門
先へ進むと,白龍園と刻まれた石碑と,二層目に上る階段。
この景色だけでドキドキしてしまいます。
階段には一面にユキノシタが群生していました。
「ユキノシタさま優先」の札・・・いいですね。
階段脇には,大きな石灯籠。
ユキノシタを避けるようにして,階段を上っていきます。
階段を上った先が二層目。
職人さんが庭の手入れをしていました。
杭で仕切られた小径を行った先に「清風亭」があります。
苔に覆われた見事な屋根,飛び石周りや石燈籠の苔に,見とれてしまいます。
この屋根,よく見るとモミジがたくさん芽吹いていますね。
・・・ちょっと感動。
3,4年前に鷺森神社と真如堂の参道でモミジの種を拾いました。
持ち帰って芽を出させ,9本の苗を育てています。
今はプランターに寄せ植えにし,秋には紅葉を楽しんでいます。
来年あたりに地植えして,小さな苔庭を造ろうかと・・・。
・・・想像するだけで楽しい。
「清風亭」から上の層が見渡せます。
右奥に見えているのが「龍吟亭」。
15段程度の階段ですが,いいですね
・・・苔に覆われていて。
「清風亭」前の階段は登らずに,少し戻ったところにある階段がこちら。
こちらも,苔もりもりです。
足の踏み場に困ってしまう。
階段を上ると左手に「鶯亭」があります。
さらに,その奥には「彩雲亭」。
「鶯亭」の脇には,この庭園のシンボル的な「夫婦紅葉」が・・・。
・・・立派ですねえ。
もともとは2本のモミジが,時を経て1本の巨木になったそうです。
モミジの種子がピンクに色づいていて,とてもきれいです。
「鶯亭」から南側に広がる庭の先には,「龍吟亭」があります。
こちらの屋根には苔が少ないようですが・・・
日当たりのせいでしょうか?
この層の庭には,山側に小さな池が造られています。
ここから,見おろす「清風亭」の苔っぽさはとてもいいです。
「龍吟亭」の左手には赤い鳥居があり,白龍神社への小径が続きます。
こちらの神社(撮影不可)には,
白髭大神(不老長寿)と
八大龍王(商売繁盛)が祀られており,それぞれから1文字ずつを取って「白龍園」と名付けられたそうです。
左側に石碑
参道脇には,山奥の僧正ヶ谷を水源とする小川が流れています。
石組みによる護岸や流れの段差も,すべて手造りなのでしょうね。
小川と橋とが織りなす苔模様もまた楽しいです。
ちなみに,奥に赤く見えているのが神社の鳥居。
神社前の参道を進むと,赤い太鼓橋に続く石段の手前で行き止まりになります。
木漏れ日の中に広がる苔模様が素晴らしいですね。
この先も,これから道が造られて行くのでしょうか。
苔のあふれる石段を進み,朱塗りの橋も渡っていけたら・・・
・・・楽しみです。
小径の脇では,鹿威しが苔に巻かれてしまっています。
少し戻ったところから,さらに上へ。
石段の小径を登った四層目には「福寿亭」があります。
ここが,一番上のあずま屋です。
「福寿亭」の左手には,また石段がありました。
登っていくと少し開けたところから,さらに上に行く石段が・・・。
でも,途中で柵がしてあり行き止まり。
この先,どこまで広がっていくのでしょうか。
園内の順路としてはこれで一巡なので,階段を下りて白龍神社の鳥居の横に戻ります。
さて,ここからもう一度苔を見ながら一周することに。
あふれる苔の他にも地衣類やらシダ類やらキノコやら。
最後は入り口の近くにある池でモリアオガエルの卵まで。
まあ,楽しいこと楽しいこと。
午前の部が終わる12時直前まで,2時間かけて苔の庭園を楽しみました。
苔庭というには広く,自然の山や水辺が一体になって苔の景色を織りなしています。
園内の階段に見られたユキノシタも,帰り道の橋下に見える川岸の岩肌に群生しているじゃないですか。
人の手が入った苔庭だとしても,周囲の自然との一体感がハンパないですね。
時節柄,京都への観光客は少なく,午前中にここを訪れた人は数人でした。
そのせいもあり,ゆっくりと苔景色を堪能することができ大満足です。
できれば季節を変えて,また来たいものです。
続きは「苔の小径へ(建仁寺:京都)」で。