京都の曼殊院,鷺森神社,伏見稲荷を9月下旬に訪ねました。
今年も暑い夏で,8月末でも35℃を超える日が続いていたようです。
9月も中旬を過ぎて,ようやく朝夕が20℃を下回るようになり,苔を見てまわるのも楽になりました。
この日は,東山の曼殊院から鷺森神社を巡りましたが,昨夜からの雨でコンディションは上々。
散策中は雨も上がっていたのでラッキーだったかも。
まずは曼殊院です。
(京都 2021-KT03①:2021年9月)
『 曼殊院へ 』
曼殊院道を上っていくと,正面に見えてくるのが勅使門。
雨降りの合間ということもあり,苔っぽさが溢れています。
ここは,8世紀に伝教大師の草創に始まり,当初は「東尾坊」と称していたものが平安後期に「曼殊院」に改称されたとのこと。
今の場所に移ったのは1656年で,良尚法親王により造営された門跡寺院です。
叡山電鉄の一乗寺駅から徒歩で曼殊院道を行くと,20分ほどで勅使門。
この日は蒸し暑い中,上り道を歩くのが嫌だったのでタクシーで来てしまいました。
・・・はい,軟弱です。
それにしても,苔がすごいですね。
勅使門左右の石垣の上には苔のじゅうたん。
曼殊院には何度か来ているけれど,苔を見始めてからは初めて。
こんなに苔が溢れているとは思わなかったので,ちょっと嬉しい。
苔を見ながら,石垣沿いの道を行ったり来たり。
これだけでもう大満足。
ようやく北通用門にたどり着き,中へ。
建物に入り,廊下を進むと枯山水の庭園が見えてきます。
初めに見えてくるのが鶴島で,樹齢約400年の立派な五葉松がそびえたちます。
この松が鶴をかたどっているらしいのですが・・・私にはちょっと?
以前は亀島にも,地を這う亀の形をした松があったようです。
この五葉松,この高さ,見事ですね。
樹冠まで緑摘みとかするのでしょうか,手入れするところを見てみたいものです。
五葉松の根元にある燈籠は「キリシタン燈籠」と言われるものです。
小書院から見て左奥にはこの庭の芯になる瀧石。
ここから流れ出た水(白砂)は石橋をくぐり,下手にある水分石で二分され下流に広がった中に亀島,鶴島が配置されている。
左手前に水分石
石橋や水分石には苔模様が広がります。
どちらも小書院からは距離があるので,肉眼で見るのはつらいところ。
庭に降りられないのが残念かな。
望遠レンズがあって良かった。
小書院を左に回り込むように庭が続き,枯山水とは違った趣き。
ツツジの向こうにあるのは,「半夏生」では?
建仁寺の両足院で見たのに似ている・・・。
半夏生の右手には,庭の奥に続く石段の小径が・・・。
う~ん,歩けないのが残念。
小書院の縁側沿いにはつくばいがあり,側面には梟(ふくろう)が彫られていることから,「梟の手水鉢」と呼ばれているそうです。
残念ながら苔っぽさはありませんでした。
この庭には他にも燈籠が配されていて,それぞれの苔模様を楽しめます。
ひっそりと佇む燈籠に広がる苔模様。
なんともこの雰囲気はステキです。
初めに通った廊下沿いの庭にも燈籠が。
中庭にも燈籠。
こちらの枯山水にも燈籠。
これは古そう。
建物周辺では,一面に広がるような苔景色は見られませんが,庭石や燈籠に広がる様々な苔模様が楽しめました。
曼殊院の拝観を終えて,少し道を下ったところにあるのが曼殊院天満宮。
ここでも,あちこちに広がる苔模様が見られます。
曼殊院の建具は,ひょうたんや扇の引き手,富士山の釘隠しなど,お洒落感満載なのが好きで,何度か訪れていました。
それなのに,今回は建物の中を殆ど見ていなかったことに,あとから気づきました。
どうやら勅使門から続く石垣上の苔の広がりに圧倒されて,舞い上がってしまっていたようです。
この日は人も少なく,苔の景色を眺めながら静かな時を過ごすことができました。
続きは「苔の小径へ(鷺森神社:京都)」で。