京都の貴船神社を訪ね,春の新緑と苔の織りなす景色を楽しみました。
鞍馬寺から奥の院参道を抜けると貴船川沿いに降りてこれます。
貴船川沿いの水が豊かな雰囲気の中に広がる苔模様は,鞍馬山とはまた違った楽しさがありました。
(京都 2022-KT01③:2022年4月)
『 貴船神社へ 』
鞍馬寺の西門を抜け奥の院橋を渡ると川添いの道に出ます。
この辺りが貴船地区で読み方は「きぶね」,ところが貴船神社は「きふね」,水の神様であることから濁らない読み方をするらしいです。
京都では夏季の納涼床が有名ですが,貴船川沿いでは「川床」と言われ,その準備も始まっていました。
貴船神社は貴船山の麓にあり,「本宮」,「奥宮」,「結社」をお詣りすることを三社詣と言うそうです。
水の神として信仰され,「きふね」は古くから気の生ずる根源として「氣生根」と記され,御神気に触れることで気が満ちるとされています。
創建の年代を示す記録は無いとのことですが,1300年前には社殿があったそうで,極めて古い神社です。
川沿いに上流へ進むと鳥居が見えてきます。
水辺の護岸は苔に覆われていて,それだけで楽しくなりますね。
ちなみにこの鳥居は二の鳥居で,一の鳥居は貴船口駅の南にあります。
鳥居の左右にある杉とケヤキの大木が見事です。
鳥居を抜けて,参道を進みます。
この参道の階段がまた苔っぽくてワクワクします。
階段を登り,門をくぐると本殿が見えてきます。
まずは手水舎へ。
なかなか趣きがありますね。
この手水舎の苔っぽさはいいですね。
・・・とてもいい。
手水舎の左手の階段を登れば本宮の社殿(拝殿)です。
本殿はこの奥になります。
社殿の左手には御神水が祀られています。
この御神水に浸す「水占みくじ」も有名らしいです。
それにしても
この石垣・・・
この苔模様・・・
社殿と相まって,何とも言えない素敵な雰囲気を醸し出しています。
階段の左手には御神木の桂の木がそびえたっています。
下から見上げるとなにやら神々しい・・・。
御神木の奥には,昭和の作庭家である重森三玲氏が「天津盤境」(古代の神聖な祭場)をイメージして作った石庭があります。
貴船石で石組みされ庭全体が船の形を表しているそうです。
本宮のお詣りを済ませ,社殿脇から北門を抜け階段を降りると鈴鹿川に架かる橋。
左を見ると,石垣を流れ落ちる小川広がる苔模様。
舗装路を川沿いに進むと,川床の準備をしていました。
床の周りの苔っぽさがいいですね。
さらに先へ進むと見えてくるのが「結社」です。
お詣りする順序は本宮→奥宮→結社だそうで,その方が願い事がかないやすいらしいです。
今回は苔模様をたどりながら下流側から順にお詣りさせていただきます。
結社には貴船の山奥から出土し奉納された(平成8年)船形の自然石「天乃磐船」が置かれています。
結社から奥宮へ向かうと,鳥居の手前にこれも御神木の「相生の杉」が見えてきます。
樹高35m,樹齢約1000年だそうです。
苔に覆われてますね。
やはり古木は好きです。
鳥居をくぐると「思ひ川」に架かる橋があり,その先が奥宮への参道です。
古木,倒木,切り株,川岸,石垣・・・
どこを見ても,苔,苔,苔・・・。
苔の生命力に凄みを感じてしまいます。
参道をしばらく進むと奥宮境内に入る神門が見えてきます。
境内は広いですね。
奥に見えるのが拝殿,その奥が本殿。
左手には「日吉社」,その後ろには杉と楓が和合した「連理の杉」。
この奥宮が貴船神社創建の地で,本殿の真下には「龍穴」と言われる大きな穴が空いており,その上に社が創建されたそうです。
この龍穴は誰も見ることが許されず,日本三大龍穴のひとつとのことです。
拝殿横の桂の木も立派です。
本殿の左手には石を積みあげて造られた「御船形石」があります。
この神社の由緒では,玉依姫(神武天皇の母)が「黄船」に乗って鴨川から貴船川を遡り,この地に上陸したとされ,姫が乗ってきた「黄船」が地下に納められたとのことです。
江戸時代中期頃にはこの石積みの原型が存在していたようで,かなり古いものらしいです。
この石積みと裏手にある石垣に広がる苔模様も素敵です。
境内には木製のベンチらしきものがありますが・・・
・・・苔に覆われていて座れないのがまた楽しい。
奥宮までの参詣を終えて貴船神社めぐりは終わりです。
帰りは貴船川沿いに歩いて貴船口駅に向かいます。
貴船神社はパワースポットとしても人気があるそうです。
そういう「気」は感じない系なのですが,実際に訪れてみるとなんだか凄みを感じてしまいます。
苔好きにとっては,ぞくぞくする雰囲気が楽しいですけど。
今回は鞍馬から貴船を廻り,とても多くの苔模様を味わうことができました。
できれば,梅雨の頃に来て苔モリモリの様子を見てみたいものです。