京都の洛西にある妙心寺(退蔵院,大心院,桂春院)の苔庭を訪ねました。
この数日は比較的暖かく,前夜からの雨も出かけるころには小止みになり,苔を見るには最適のコンディション。
初めに退蔵院を紹介します。
(京都 2021-KT01①:2021年2月)
『 退蔵院(妙心寺)へ 』
妙心寺は,なにしろ広く全部を見て回ると半日はかかりそう。
築地塀と石畳の道の続く境内は落ち着いた雰囲気。
法堂の雲竜図が有名で,八方睨みの龍はなかなかの迫力。
ここは,1337年に花園法皇が離宮を改めて禅寺としたのが始まりで,臨済宗妙心寺派の大本山だそうです。
JR山陰本線の花園駅で降りて,歩いて5分ほどで南総門に(約400m)。
ちなみに,南総門から北総門までは550mちょっと・・・やはり広い。
退蔵院は,南総門から入って左に行ったすぐのところにあり,方丈を囲む枯山水庭園「元信の庭」,池泉回遊式の「余香苑」などが有名。
方丈にある「瓢鮎図」は国宝で,以前来た時には,この絵のなまずが目当てでした。
山門を入ると拝観受付があり,白壁沿いを進んで方丈へ。
つくばいには椿が添えられていて,苔の緑に赤が映えてなごみます。
小さい門を入ると「方丈」。
方丈前を通って右奥に枯山水庭園の「元信の庭」。
中には入れませんが,方丈の角から見渡せます。
方丈に向かって正面に,日本最古の水墨画と言われる「瓢鮎図」(模本)があります。
日本では「鮎」というと「アユ」なんですけど,中国では「鮎」が意味するのは「ナマズ」だったそうです。
正面右奥に「元信の庭」
中央の縦長の額が「瓢鮎図」
方丈を後にし,白壁沿いを生垣の奥へ進むと「余香苑」の入り口。
だんだん,苔っぽくなってきました。
入口の門を入ると正面に立派な紅しだれ桜,左手に「陽の庭」,右手に「陰の庭」。
春に満開のしだれ桜を見てみたいものです。
順路を進むと「あずまや」があり,その先に石灯籠とつくばい。
さらに行くと,つくばいと水琴窟。
ここにも赤い椿が添えられていて,苔に覆われたつくばいの緑とのコントラストがいい感じ。
つくばいの下が水琴窟になっています。
苔のもりもり感がいいですね。
先へ進むと右手に茶席「大休庵」,その先の藤棚を抜けた最奥に「まちあい」があり,ここから庭園全体が見渡せます。
待合(まちあい)とは,茶会に招かれた客が用意が整うまで待ち合わせるところだそうです。
手前がひょうたん池
この庭園は池泉回遊式で,昭和に造られた名庭と言われているそうです。
右奥に滝が作られていて,手前がひょうたん池。
水辺の景色には苔が似合いますね。
退蔵院は妙心寺の境内にある塔頭ですが,結構な広さがあり人もいなかったのでゆっくりと苔が楽しめました。
できれば池の周りを歩いて見て回れると,もっと嬉しいのですが。
続きは「苔の小径へ(妙心寺 大心院:京都)」で。