苔の小径へ(詩仙堂:京都)

10月に京都の詩仙堂,圓光寺,銀閣寺の苔庭を訪ねました。
紅葉の前なので,比較的落ち着いた雰囲気の中で苔のある景色を満喫。
東山にある詩仙堂を紹介します。
(京都 2020-KT03④:2020年10月)

詩仙堂へ
これまでに何度か訪ねたことがある詩仙堂。
静かな寺院で境内を散策できた覚えがあったので,東山のふもとにあることから,それなりの苔景色が見られることを期待して再訪することに。

ここは,江戸時代の文人・石川丈山が過ごした山荘跡で,現在は曹洞宗大本山永平寺の末寺で正式名称は「詩仙堂丈山寺」。
また,詩仙堂はでこぼこした土地に建てた住居という意味の「凹凸窠おうとつか」と呼ばれていたそうで,幾層からなる苔庭をめぐる小径が秀逸。

詩仙堂の入り口には「小有洞しょうゆうどう」という門。
いきなりの苔屋根に思わず期待してしまう。

石段を登り参道を奥へ進むと「老梅関ろうばいかん」の茅葺きの門。
またまた屋根の苔に惹かれてしまう。

参道わきや老梅関を入ったところの古木にも苔が。
苔むした古木にも惹かれまくりで,なかなか先に進めない。

建物に入ると,眼の前に広がるのは枯山水の庭園。
この建物が「詩仙堂」で,三階建ての一番上が「嘯月楼しょうげつろう」。
一階にある和室と「詩仙の間」や読書室の「至楽巣しらくそう」から庭が眺められる。

左手のサツキの刈込みの根元には苔の世界が。

建物を出て裏手を回り庭園に出ることに。
目に入ってくるのは「膏肓泉こうこうせん」と呼ばれる井戸・・・
の,後ろに見える石垣・・・
の,一面が苔模様。

こういう所は,しゃがむことなく苔を間近に見れるのでうれしいかも。
苔初心者には,地面の苔をしゃがみこんで見るのはちょっと勇気が必要。
そういう時にカメラは有効なツールで,人目をはばからずじっとしていられる。
もちろん,他人の迷惑にならないようにですけどね。
それでも石垣をじっと見てる姿は他の人から見れば不思議に見えるかも。
というか,薄暗いところにボーッと立ってたら,ちょっと不気味・・・。

まあ,気にしない,気にしない。

「至楽巣」の横には,つくばいも。

さて,庭園に出るとサツキの刈込み越しに,さっきまでいた建物が見えている。
それでも,興味があるのは左手にある「洗蒙瀑せんもうばく」の流れ込みの石組みと苔模様。

いいですね,水の流れと苔が織りなす空間・・・。
・・・何気なく右手に目を移すと・・・。
おおおっ・・・。
これはいい。
この苔の帽子。

柵があって近づけないので,望遠で撮ってもこれがやっと。
ああ,触れてみたい。

この,洗蒙瀑や詩仙堂の建物があるのが一層目
次が,ししおどしのある二層目
少し下がって,残月軒と小さな池がある三層目
その奥には,苔じゅうたんの中に小さなお地蔵様がいる四層目
それらをつなぐ石段と小径。
・・・秀逸なり。

こんな石段の小径で連なる回遊式庭園。
奥に見えているのは「嘯月楼しょうげつろう」。

石段を下りると二層目の庭園が広がる。
植込みの奥が少し下がった三層目。
ここでは,写真のさらに左側にある「しし(鹿)おどし」が有名。

この「ししおどし」は「僧都そうず(添水)」と言い,本来は鹿を追い払うために音を発する仕組みだそうです。

さらに石段を下りると三層目。
ここは「百花塢」ひゃっかのうと呼ばれる庭園。
建物は昭和期に建てられた茶室「残月軒」。

周囲を見回せば,苔をまとった木がちらほら。

この木の右手を下に降りると,さらに苔模様。

苔じゅうたんの中に石碑と小さなお地蔵さまが。

石碑に続く苔の小径。
入ることはできませんが,こんなところを歩いてみたいものです。

ぐるっと回って進むと坐禅堂の「十方明峰閣」。
ここにもさりげなく苔庭が。
中に立つのは九重の石塔。

これでほぼ一巡。
回遊式なので,何度も繰り返して歩きながら苔景色を楽しんで帰途に。

詩仙堂のコケ巡りはこれで終わり。
見て回るだけで,おおむね1時間かかってしまった。
座敷でゆっくりしたらもっとですね。

続きは,「苔の小径へ(圓光寺:京都)」で。

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