苔の小径へ(実相院:京都)

京都洛北の岩倉地区を訪ね,実相院じっそういん石座いわくら神社,山住やまずみ神社を巡り,新緑と苔の織りなす景色を楽しみました。
この日の天気は朝から下り坂で,岩倉に着く頃にはしっかり雨降り。
はじめに実相院を訪れました。
ここでは室内からゆっくり座って苔を見ることができるので,雨模様で良かったかも。
(京都 2022-KT01④:2022年4月)

実相院へ
実相院は地下鉄の国際会館駅から2kmちょっとなので歩いて30分ほど。
岩倉川沿いを歩いて行くのが気持ちよくて好きなのですが,この日は雨降りだったので駅からタクシーに乗ってしまいました。
この寺院は天台宗寺門派の門跡寺院で,1229年に静基権僧正により紫野の地に開かれ,その後応仁の乱の頃に現在の場所に移されたそうです。

東側の石庭と西側の山水庭園の二つのお庭で,春の桜,新緑,秋の紅葉が楽しめます。
特に丹念に磨かれた床に映る「床モミジ」は有名です。

門を入り室内を進むと枯山水の庭園があります。
この石庭は「こころのお庭」と呼ばれ,奥比叡の借景と,春には桜,秋にはモミジの紅葉が見事です。
石組みと苔で日本列島を,木でできたオブジェで押し寄せる波を表現しているそうです。

庭の右奥には比叡山が望めます。
・・・木に隠れてますけど。

波のオブジェは苔に覆われて素敵です。
望遠レンズを通してでないと良く見えないのが残念かも。

建物の中を反対側に抜けると山水庭園。
それほど広いお庭ではないのですが,裏山の木々との一体感によって,とても奥深い景色が楽しすぎます。

中央には大きな池があり,その周囲に多くの木々と苔景色が広がります。
庭に降りることはできませんが,縁側に座ってゆっくりと庭を見れるのがお気に入りです。
何年か前に屋根の補強の柱が立てられました。

この建物は,京都御所の大宮御所(1709年造営)の一部が,1721年に移築されたものだそうです。
(正面の「四脚門」,玄関横の「御車寄」,中の建物「客殿」)
残念ながら重要文化財などの指定を受けていないため,後世に遺していくには自力で修復することが必要だそうです。
このため,現在「実相院修復支援文化プロジェクト」が企画され支援者のご寄進を募るための活動が行われています。
大変な努力ですね。
わたしも,以前少しだけ協力させていただきました。

ここは洛北の静かな場所にあるので,苔を見ながら時間を過ごすのが楽しいです。
時間によっては隣の保育園から子供たちの声が聞こえてくるのはご愛嬌です。

縁側から右手奥にも庭が広がっています。
そういえば,池の上に大きく張り出していたモミジの枝が無くなり少し眺めが変わっていました。
どうやら1月の大雪の時に折れてしまったようです。
立派なモミジだったので残念ですが,それでも時間が経てば新しい枝が伸びて,きれいな景色を見せてくれるのでしょうね。

庭の向こうの山の懐に抱かれてるみたいな景色。
この庭の池には,モリアオガエルが卵を産みに来ます。
池の上に張り出した枝に産み付けられた卵を見たことがあります。
このカエルたちは裏の山と行き来しているそうです。

軒下の縁側に座ると目の前に広がる苔景色。
なにしろ苔が近くて。
つくばいも目の前だし。
すぐ足元にも苔がひしめいています。

つくばいの周辺も苔もりもり。

苔むしたウサギと・・・
となりにいるのはどうやらカエルらしいです。
「ウサギとカメ」とか「ウサギの親子」とか思ったりもしたのですが・・・
実相院HPの「今日の実相院」に登場していました。

踏み石の周りに広がる苔模様もみごとです。
本当にどこもかしこも苔だらけで嬉しくなってしまいます。

この日はスギゴケの仲間の雄株の先端に雄器盤が開いているのが見られました。
雨水をためている様子は,花が咲いているようで美しくて見とれてしまいます。
・・・望遠レンズ越しですが。

このお寺では二つの庭を楽しめます。
特に山水庭園の縁側に座ってゆっくりと静かな時間を過ごすのが好きです。
もともとこのお寺には良く来ていて,毎年何回かは訪れていました。
苔に魅力を感じるようになってからは,この庭に来るのが益々楽しくなりました。
この日も雨が降る庭を眺めて楽しいひと時を過ごすことができました。

続きは「苔の小径へ(石座神社:京都)」で(作成中)。

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